TELMステップ7:文法・語法・コロケーションを意識して生の英語に触れる
TELM(Tai’s English Learning Method)の7ステップのうち、最後のステップ7をお話しします。生の英語に大量に触れ、そこから自分の表現を拾い集めていく段階です。
ここでやっと、ネイティブと同じ学び方ができます
ステップ7でやることは、実はネイティブが母語を身につけたのと同じことです。大量に読み、大量に聞き、そのなかから表現と文法を自然に吸収していく。
「それなら最初からそうすればいいのでは」と思うかもしれません。そうはいきません。この方法が成立するのは、ステップ0から6で道具が全部そろっているからです。文法も、予測読みも、音の土台も、もう意識しなくても動く状態になっている。だから「文法や語法を意識しながら読む」ことに労力がかからないのです。
聞き流していれば話せるようになる、という主張が間違っているのはここです。自然に身につける学び方そのものが間違っているのではなく、順番が間違っているのです。多読多聴はステップ7であって、ステップ1ではありません。
そしてここからは、私から教わらなくても一人で進められます。ステップ0から6までは独学が難しい内容ですが、ここまで積んだ方はもう自分で伸ばしていけます。
英語をゼロから始める方でも、ステップ5までは1年半で学べます。早めにそこまで終わらせて、本当に英語が楽しくなるこの段階に来てください。自分が興味のある分野の情報を集めながら、同時に英語の勉強にもなる。ここまで来ると、勉強しているという感覚がなくなります。
単語帳をやめてください
この段階で語彙力が爆発的に伸びます。ただし、単語帳では伸びません。語法とコロケーションを鍛えられないからです。
試してみましょう。「与える」という意味の英単語を、思いつくだけ挙げてみてください。
give, provide, supply, offer, award, present, grant, bestow, confer
このあたりが出てきたと思います。単語帳なら、ほぼ間違いなく全部載っています。ではこれを、会話のなかで一瞬で使い分けられますか。
単語を単体で覚えていたら、使い分けは不可能です。辞書に書いてあるニュアンスの違いを覚えたとしても、会話のなかで一瞬では選べませんし、主観も入ります。だから使い間違えます。
正解は、語法とコロケーションで覚えることです。さきほどの単語がどう使われるかは、全部そこで決まっています。
たとえば grant は「権限」や「アクセス」といった概念の名詞と相性がいい。
- 許可を与える →
grant permission - 〜する権限を付与する →
grant authorization to do - 〜へのアクセスを与える →
grant access to
confer は「学位」系の概念と相性がいい。
- 学位を授与する →
confer a degree
こう覚えていけば、「与える」を文脈に応じて正確に、しかも瞬時に口から出せるようになります。
語法とコロケーションの身につけ方
方法は一つです。大量に生の英文に触れることです。
grant が使われている英文に100回くらい出会っていくと、「grantはこの名詞と相性がいいな」「grantは後ろに to不定詞を持ってこられるのか」と、だんだん分かってきます。これが本当の語彙力です。
私たちが日本語を覚えたのも、まさにこのプロセスでした。ステップ1から6で文法力と精読力を身につけたのであれば、同じやり方で英単語力も上げていけます。
読んだり聞いたりしながら、ネイティブが実際にどう文法を使っているかも研究してください。「なるほど、ネイティブはこの文脈で分詞構文を使うのか」「この流れで倒置構文を使うのか」というように、一文一文を意識して見ていきます。
自分が使う表現だけを盗む
大量の英文に触れるなかで、「これは使ってみたい」と思った表現が出てきます。それを瞬間独り同時通訳のなかで実際に使ってみる。これがステップ7のもう半分です。
ポイントは、全部を使えるようにする必要はないということです。一つの単語につき大量の語法とコロケーションに出会いますが、そのなかから自分にとって使いやすいものだけを使い回せば十分です。
たとえば「勧める」の suggest にはかなりの量の語法がありますが、私が使うのは2つだけです。
suggest + 名詞suggest + (to + 人) + that節
これ以外はあまり使いません。
理解できればいい表現と、使える必要がある表現
日本人にとって発想しにくいネイティブらしい表現は、スピーキングで使う必要はありません。読んだり聞いたりして理解できればいいというレベルに留めて構いません。
ネイティブフレーズはノンネイティブには理解しにくく、スラングになると一部の国や地域でしか使われないものも多いからです。
例を出します。「その大統領はその事件のことで非難されている」を英訳してみてください。
まず、万人に通じる英文はこうです。
The president is criticized for the incident.
シンプルで分かりやすいですね。次に、ニュースや英字新聞で見られるネイティブらしい言い方に書き直します。
The president is coming under fire for the incident.
come under fire for で「〜が非難されている」となります。ただ、これを日本人がさらっと使うのは難しい。それなら be criticized と言ったほうが簡単です。
こういう表現は、まず理解できるレベルを目指してください。
「この理論を"使えるスキル"に変えたい方へ」
記事を読んだだけでは話せるようにはなりません。
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TELMメソッドを具体的に実演します。
独学には限界があります
これでTELMの7ステップの解説は終わりです。SNSで言われている勉強法とはかなり違う点が多かったと思います。
ただ、これを一段ずつ着実にこなせば、英語は本当に使えるようになります。私が教えている生徒さんには全員この順番で勉強してもらっていて、無対策でTOEIC900点超え、無対策で英検1級取得という方も多くいらっしゃいます。真の実力さえ身につけば、試験対策は要りません。
そのうえで、正直にお伝えします。ステップ0から6には、このサイトやSNSで公開していない内容が含まれます。瞬間独り同時通訳の具体的な進め方や、リーディングとリスニングの肝になる予測読みの中身は、公開していません。
それでも独学でやってみようと思う方はいると思います。長い目で見たときに、安上がりだけれど遠回りをして何十年もかけるのと、最初に投資して2、3年で仕上げるのと、どちらがいいか。ご自身で判断してください。
さらに詳しく
- 英語コロケーションの重要性
- 英語の語法を学ぶ重要性
- 例外的な意味を持つ単語の覚え方
- 英単語を覚えても話せない理由|単語帳を10冊やっても英語が口から出ない人へ
- コロケーションを意識した日本語力の身につけ方
- ネイティブらしい英語よりも先に標準英語をマスターする
- 英語の本質を学べばあらゆる分野で応用可能である
次はどうすればいいか
TELMの7ステップをここまで読んでいただきました。学習法そのものについては、別のページにまとめています。
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前のステップ → ステップ6:きちんとした文章を書けるようにする