このページではTELM式ステップ3の「精読練習をする」についてお話しします。
ステップ1で文法の基礎を固め、ステップ2で音読と暗記、独り同時通訳についてお話をしました。
ここまで学習をして、やっとリーディングの学習効果を最大限に発揮できる段階に到達と言えます。
リーディングでは文法を全て理解しておくべき理由
Step1でもお話しましたが、大学受験レベルの文法力が必須です。
なぜでしょうか?それは、どんな複雑な文章でも理解できるようにするためなんです。
スピーキングやライティングは、知っている範囲の文法や単語を使えば何とかなります。
ただ、リーディングやリスニングはそうはいきません。未知の文法に出会ったら、理解する手段がないからです。
だから、事前に文法を完璧にマスターしておく必要があるのです。
あなたの和訳力をチェックしてみましょう
文法力の重要性を実感するために、ちょっとした問題を出してみましょう。下に書かれている英文を訳してみてください。
使われている単語は全部中1レベルです。つまり、この文を理解するのに必要なのは文法力だけなんです。
和訳ができたら「解答」と言うタブを押すと答えの和訳が表示されます。
“I’d have done the same hadn’t you told me so.”
どうでしたか?正解できましたか?
よくある誤訳は「私は同じことをやった、君は私にそう言わなかった」です。
これは文法を無視した訳し方で、完全な誤訳です。
この文章には、どんな文法が使われているでしょうか?
実は、仮定法過去完了と仮定法の倒置という2つの高度な文法が使われているんです。
‘d haveとhadn’t を見た瞬間に仮定法だと気づく必要があります。
また、hadn’t you toldは if you hadn’t told の倒置形だと理解しなければなりません。
これが、リーディングに高度な文法力が必要不可欠な理由なのです。
「こんな文法、日常会話じゃ使わないよ!」って思いましたか?
実は、この例文は小学生が実際に話した英文です。
「学校の文法は日常会話で使わない」と言っている人は、その文法が日常会話で使われていることに気づいていないだけかもしれません。
スラッシュリーディングの練習は文法を身につけてから
最近、スラッシュリーディングという手法が流行っていますね。これは英語を頭から塊で理解する方法です。
ただ、文法を理解していないとこれは意味がありません。
例えば、先程の例文にスラッシュを入れるとこうなります。
“I’d have done the same / hadn’t you told me so.”
文法が分からないと、これを頭から理解しようとしても意味不明な誤訳になってしまいます。
だから、最初は頭から読もうとする必要はありません。速読も不要です。
大学受験の頃にやっていたような、英文を一字一句完璧に理解する練習をしてください。
上記の英文であれば、以下のことを考えてみましょう:
- 各単語の品詞は何か?
- 文型は何か?
- どの単語がどの単語を修飾しているか?
- 時制は何か?
- 使われている文法は何か?
1文に対してここまで深く研究してください。
こうやって完璧に理解できる英文を一文ずつ増やすことで、どんな英文も細部まで理解できるようになっていきます。
この精読練習が終わったら、次はネイティブと同じように頭から速く読む方法を学びます。
次のページで説明する速読練習が、リスニング力の基礎にもなります。