「英語学習に英英辞書は欠かせない」と多くの英語教育者が言います。その理由は、英和辞書と比べて単語の微妙なニュアンスを理解できるからです。
「英語は英語で考えるべきである」という考えが最近の英語学習の風潮です。これが影響して、「英和辞書は日本語を介在させるので、英語で考えることができなくなる。そうではなく、英英辞書を使って英語のみをインプットするべきだ」という考えが広まっているようです。
しかし、私は「英英辞書は使わなくても良い」と思っています。実際、私自身は英英辞書を全く使ったことがなく、英和辞書と和英辞書だけを使って通訳レベルの英語力を身につけました。英英辞書を使わなくても、上級レベルの英語力に到達することは十分可能です。
初級者、中級者は英英辞書を使うべきではない
英英辞書は、当たり前ですが英単語の定義も全て英語で書かれています。しかも、中には分かりにくい説明もたくさんあります。そのため、初級者や中級者は英和辞書を使うべきです。分からない単語を調べる際は、英英辞書よりも英和辞書の方がはるかに効率よく調べることができるらです。
例えば、「subjective」の意味を調べるとしましょう。「Oxford Advanced Learner’s Dictionary」では、以下のように定義されています。
based on your own ideas or opinions rather than facts and therefore sometimes unfair
何となく理解できますが、はっきりと意味をつかむことが難しいのではないでしょうか。また、文法知識がないために、定義を正確に読み取れません。その中でさらにわからない単語がある場合は、その意味もまた調べなおさなければいけません。
このように、英英辞書を使うと一つの単語を調べるのに多大な時間を取られることが多いです。一方、英和辞書で調べると「主観的な」と書かれています。これであれば、初級者でも1秒以内で「subjective」の意味を知ることができます。
もし大学入試レベルの英文法を知っており、覚えている語彙数も最低3000語以上であれば、英英辞書を使っても良いです。多くの学習英英辞書は、3000~4000語以内の単語数で英単語を説明しているからです。
本物の単語力は、語法力、コロケーション力、リーディング量で決まる
単語を単体で覚えても、ライティングやスピーキングでは使えるようにはなりません。なぜなら、語法とコロケーションを覚えなければいけないからです。
語法とは、単語を使うときのルールです。例えば、「彼に~を買ってあげる」は「buy ~ for him」となります。「~に」をbuyの動詞と一緒に用いるときは、forを使うという語法があります。
また、よく一緒に使われる単語同士をまとめて表すことをコロケーションといいます。たとえば、「計画を立てる」は「make a plan」ですが、日本語を直訳して「build a plan」とは言いません。
こういった語法やコロケーションは、現在ほとんどの英和辞書や英英辞書で取り上げられています。また、コロケーション辞典というものもありますので、そちらを使用すればより多くのコロケーションを学ぶことができます。
しかし、まだまだ辞書にはのっていないコロケーションもたくさんあります。それを補うためにも、多くの英文を読んでください。英文を読む際は、コロケーションだけでなく、語法やその単語のニュアンスまでもつかむようにすると効果的です。
単語のニュアンスは英和辞書や英英辞書にも書かれていますが、実際に英文を読み、「それぞれの単語がどのような文脈で使われているか」を観察しているうちに、徐々に語感が養われていきます。これが本物の単語力です。
これらを考えると、「英英辞書を使わなくても英語力を上級レベルにまで伸ばすことができる」ということがお分かりいただけたかと思います。私が勧めることは、英和辞書を使って単語を調べる時間をできるだけ少なくすることです。そして大量の英文を読み、コロケーションや語法、そして語感を養っていきます。
単語のニュアンスを理解し、正確な語法やコロケーションを身につけましょう。そうすれば、あなたが話したり書いたりするときにその単語を使えるようになっているはずです。