多くの英語学習者にとって習得が難しい文法の一つに、前置詞があります。英語の世界では、「前置詞6年冠詞8年」とも言われています。前置詞を完璧に使いこなすには、それほどの年月がかかるということです。
前置詞のマスター方法はさまざまであり、書店に行けばそれに関する多くの本が販売されています。その中でも、「単語のコアイメージをつかめば、ネイティブのように前置詞を使いこなすことができる」といった本が人気のようです。
ただし、これは母国語が日本語の人たちには当てはまりません。私もかつて、コアイメージを覚えて前置詞を使いこなせることができるように練習したことがありました。しかし、ネイティブと同じ感覚で前置詞を使うことはいまだにできません。
それでは、以下の動画で日本人にとって効果的な前置詞の学習法を学んでください。
語法・コロケーションで覚えれば前置詞を間違えることはない
英単語を覚えるとき、必ず語法(単語を使う上でのルール)とコロケーション(単語と単語の慣用的な組み合わせ)をセットで覚えてください。これをやらないと、いざ英会話で覚えた単語を使いたいときに、文章の中でそれらを使うことができないからです。
例えば、「役に立つ」という意味のusefulだけで覚えたとしても、「~において役立つ」と言いたいときはどの前置詞を使えばよいかはわかりません。コアイメージを意識して、日本人の勝手な想像で「atやaboutかな」と考えてしまってはダメです。
usefulには、「前置詞のforかinを使う」という語法のルールがあります。これに関しては、英和辞書で確認してください。
私たち日本人は、ネイティブが各前置詞にもつコアイメージを理解することができません。どうしても母国語の干渉を受けてしまい、上記のようにuseful aboutなどといった誤った前置詞を使ってしまいがちです。
こういったことを防ぐために、必ず英和辞書で語法の確認をすることが大切になります。最初は、1つ1つの単語を辞書で引くことは面倒くさいです。ただ、同じ単語を何度も引いて英会話で使っていれば、自然に語法を覚えていきます。
必ず英借文をする
翻訳者などのプロは、日本語を英訳するときに自分の勝手な独創で英文を作りません。必ず、ネイティブが過去に書いた(または言った)ことのある英文を参考にし、それらを翻訳して英文を作成します。
基本的な語法やコロケーションは、辞書を見れば載っています。しかし、全ては載っていません。もし全部辞書に記すとなれば、恐らく何十万ページの辞書となってしまいます。そのため、辞書に載っていない語法やコロケーションは、英字新聞や雑誌、またはニュースや海外ドラマなどから自分で見つける必要があります。
このように、ネイティブが使ったことのある表現を盗み、自分の言葉として使っていくことを英借文と言います。翻訳者は、全員これを意識して英語を翻訳しています。
この手法は翻訳者だけでなく、一般の英語学習者にも応用ができます。もし自分が言いたい英語表現がわからないときは、英和辞書を最初に開きます。そこでも自分が知りたい表現が載っていない場合、本などを大量に読んでいく中でその表現を見つけていきます。時間がかかりますが、それしか方法はありません。
ネイティブの友人がいれば、彼らに聞くことも選択肢の一つです。ただ、毎回表現の質問をするわけにもいかないので、自分で雑誌やニュースなどから英語表現を収集していきましょう。
このような地道な努力を継続していけば、徐々に前置詞を使いこなせるようになります。