ここでは、北朝鮮によるミサイル発射に関するニュース記事を題材に、英文読解の練習をしましょう。ご自身の力試しとして使ってください。
問題1
引用元:
Pentagon Says North Korea Bent on Developing Missile That Can Reach U.S.
Wall Street Journal
12 February, 2016
・解説
①remainは「?の状態のままである」という意味の動詞であり、例えばRight to remain silent(黙秘権)といったように、目的語に形容詞や動詞の過去分詞形を伴います。そのため、ここのcommittedは、動詞commitの過去分詞と考えます(このcommittedは形容詞と考えることもできます)。分詞に関しての詳細は、「英語の文法:分詞(現在分詞と過去分詞、限定用法)」のページをご覧下さい。
commitは、be committed toの形で 「?に傾倒する、専心する」という意味になります。toのうしろは名詞または動名詞を伴う(look forward toと同じ)ので、覚えておきましょう。
②poseにはこのように「危険などを引き起こす」という意味もあります。英語らしい表現でイメージがつかみにくい単語だと思いますので、必ず辞書を参照してください。pose a threatのコロケーションでセットで覚えましょう。コロケーションに関しては、「英語コロケーションの重要性」を参照してください。
ここでは助動詞couldを伴っていますので、「米国にとって脅威となり得る」という意味です。couldがなければ、「米国にとって脅威である」というように断定的に訳さなければなりません。助動詞はなんとなく読み飛びしてしまいがちですが、その文の意味を決定づける重要な役割を果たしていることがありますので、注意してください。
③文の最後にその文の出どころ(誰がその文章について話したか)を、コンマをつけて追記するのは新聞でよく見られる表現方法です。例えば、……, the sources familiar with the incident said. (この事件をよく知る情報源によれば)や……, a high-ranking government official said. (政府高官によれば)のように使います。おわかりかと思いますが、Pentagonは米国国防総省(Department of Defense)の通称です。
問題1の例訳
問題2
④は素直に「その結論」と訳せばいいのですが、中身としては問題1の内容そのもの(北朝鮮が米国にとって脅威となり得る長距離核ミサイルの開発に傾倒し続けていること)を示しています。また、⑤は、問題1のa Pentagon report released on Fridayを指しています。Congressというのは、米国議会(日本の国会はDiet)のことです。
新聞やニュースでは、前文の一部を別の表現で言い換えて、更に詳しく説明することがあります。例えばこの報告書について、問題1では「国防総省が金曜日に発表した」ことしかわかりませんが、問題2の⑤を読むことで、「米国議会の命令(required by Congress)で1年おきに(every other year)作成するものである」ということがわかります。
ちなみに、every other year(1年おき)はevery second year(2年ごと)と言い換えることができます。ここもなんとなく読み飛ばしてしまわずに、正確な意味を理解するように努めてください。
⑥は、「?未満」という意味です。例えば、less than 10といえば、「10未満(10は含まない)」ということです。less than 10はunder 10と言い換えることができます(under 10の場合も10は含みません)。それでは、10以下(10を含む)はどのように表現するでしょうか。この場合、10 or lessまたは10 or underというように表現します。
数字に関する表現も、普段はあまり重点的に学習いない方が多いと思います。新聞やニュースでは数字がたくさんでてきますので、意識して読んでください。
問題2の例訳
問題3
⑦は平壌の地理的な場所そのものではなく、北朝鮮政府のことを比喩的に示しています。例えばTokyoでしたら日本政府のことですし、Seoulであれば韓国政府のことを指します。文脈にもよりますが、その国の首都が主語で書かれているときは、一般的にその国の政府のことを指すことが多いです。
⑧ですが、問題1の③で説明したものと同じです。「報告書によると……である」と訳して問題ありません。頻出表現ですので頭にいれておきましょう。
そして⑨は分詞構文です。分詞構文の意味上の主語は主文の主語と一致しますので、”having run testsの主語はit(北朝鮮)です。また、この分詞構文は完了形ですので、主文の述語動詞の時制(この場合現在進行形)よりも以前のことを表しています。
分詞構文の意味は非常にあいまいなことが多いです。基本的には、時、原因・理由、付帯状況、条件、譲歩などを表しますが、その意味は大きく文脈に左右されます。特に⑨の例ではどういった意味で解釈するのが妥当か難しいところですが、強いて言えば付帯状況が自然ではないでしょうか。
問題3の例訳