私たち成人の日本人が英語を自在に使いこなすためには、まずは母国語である日本語を元に英文を作ることが大切です。「英語を英語で考える」ことは、そのあとにできるようになります。ここでは、日本語を元にどのようなプロセスで英文を作るか、実際に見ていきましょう。
日本語を使って英語を訳す方法
例えば、頭の中で以下の和文が思いついたとします。
まずは、「彼は転職するべきかどうか躊躇している」の部分から訳し始めます。英語の基本的な語順は「主語+動詞+目的語」なので、まずは主語を決めます。ここでは「彼」が主語です。
次に動詞を決めますが、「転職する」と「躊躇する」の2つがあります。英語では、メインとなる動詞を先に言います。そのため、「転職するべきかどうか(について)躊躇している」と考え、メインの動詞は「躊躇している」と決めます。ここでは ditherを使っていきますが、hesitateでも構いません。
では、「~について躊躇する」は何と表現するでしょうか? 答えはdither overです。ここで、「ditherの後ろにはoverという前置詞がくる」という語法の知識が問われます。
「転職する」はswitch (=change)jobsと言います。「~するべきかどうか」についてはwhether he should ~ (or not)で表現できます。
Whetherの構文は名詞節を作れるので、dither overという前置詞の後ろに持ってくることが可能です。これで「彼は転職するべきかどうか躊躇している」の部分が作れます。
つぎに、「家族を養うだけの給料がもらえないのが理由だ」を訳します。「給料をもらう」はget a salary です。「家族を養う」は support his familyです。
では、「家族を養うだけの給料がもらえない」はどう処理すればよいでしょうか。ここで、enough to構文を思いつくかどうかがカギとなります。
(またはso that構文を使ってもよいでしょう)
「~が理由だ」の部分ですが、The reason is thatで訳すことができます。
全文を訳すと以下のようになります。
これでも良いですが、「彼は転職するべきかどうか躊躇している」と「家族を養うだけの給料がもらえないのが理由だ」はピリオドを打つまでして区切る必要はありません。その代わりに、以下のような独立分詞構文を使います。
これで以上です。最初はこの文章を作るのに3分~5分ほどかかるでしょう。「転職する」や「養う」を何と言えばよいか、またそれぞれのフレーズをどのようにつなげればよいかなどで迷うのです。
ただ、最初はそれでも全く問題ありません。それよりも、正確な英文を作れるようになる方がよっぽど重要です。このようなプロセスで英文を作っていけば、徐々に文章を作るスピードが速くなっていきます。また、「enough toや独立分詞構文がどういった状況で使えるか」が感覚的に分かってきます。
そのレベルまで達したら、先の例で示したような日本語を思いついたときに1秒以内に英語で話し始めることができます。そうすれば、「英語を英語で考える」境地に次第に近づくことが可能となるのです。
スピーキングやライティングで必要な文法や単語に関しては、当サイトで全て解説してあります。そこでしっかりと文法知識を身につけ、英文を自由に作れるように練習してください。