品詞分解とは
本物のリーディング力を身につけるには、まずは文法力と単語力、その上で精読力を上げることが必要になります。精読の訓練はとても重要です。これを抜かしてしまえば、いくら速読をしても英文を正確に理解することはできません。
具体的な精読のやり方ですが、一文一文に対して品詞分解を行うトレーニングをします。品詞分解とは、文章中の語、句(2単語以上のかたまり)、または節(主語と述語を含む文)がそれぞれどの品詞にあたるかを理解していくトレーニングです。
これは一見、遠回りであり、しかも速読と比べて一文一文を読みこなすのに相当な時間がかかります。しかし、「各文章中の単語それぞれの役割を理解し、理論的に完璧に理解していく」という行程が、あとで大きな差を生み出します。
このトレーニングをすることで、「文章中のどの語、句、節がどこの部分を修飾しているか」などを理解することができます。特に長い文章は文法が複雑に入り組んでいるため、このような品詞分解をすることが必要不可欠となります。
以下の例文で、品詞分解の手本を見せます。
What my father had told me before made me realize why the great man was so successful in his business.
まず、What my father had told me beforeは文法用語で何というでしょうか。これは、「先行詞を含んだ関係代名詞」です。訳は「~こと」という訳になります。この節を訳すと、「父が前に私に言ったこと」となります。
what節の中では、my fatherが主語となります。toldは第4文型の形をとれるので、meは間接目的語です。直接目的語がありませんが、これはwhat節なので、whatが直接目的語の役割を果たしています(文法用語については、当サイトの文法セクションで学習してください)。
beforeは副詞で、toldを修飾しています。had toldの時制は何でしょうか。これは「had+過去分詞」なので、過去完了を使っています。
What my father had told me before made me realizeと来たところで、動詞が3つ出てきました。toldとmadeとrealizeです。
toldはwhat節内の動詞で、madeはwhat節という主語に対しての動詞になります。つまり、この文章のメインの動詞はmadeになります。
made me realizeの形は何でしょうか。これは第5文型です。realizeが動詞の原型であることからも、第5文型であるということが分かります。訳は、「~は私を気づかせた」となります。以上までを直訳風に訳すと、「父が前私に言ったことは私を気づかせた」となります。
realize以降のwhy the great man was so successful in the business.を見ていきます。realizeは他動詞なので、うしろに目的語が必要です。why the great man wasと来たところで、「これは間接疑問文であり名詞の役割を果たすので、realizeの目的語である」ということがわかります。
the great manが間接疑問文中の主語です。so successful in the businessは、soが副詞でsuccessfulを修飾しています。訳は、「そんなに成功している」となります。be successful inで、「~において成功している」という語法です。
wasは時制の一致を受けて、現在のことを表しているにも関わらず過去形の形になります。そのため、訳は「なぜ(その)偉大な男がそんなに事業で成功しているのか」となります。
これで品詞分解が全て終わりました。全文を訳すと、以下のようになります。
「父が前私に言ったことは、なぜその偉大な男がそんなに事業で成功しているのかという事を気づかせるものだった。」
以上が品詞分解の流れです。このような方法で、一文一文を正確に理解していくことが大切です。これを何百文と行えば、ある日、品詞分解をしなくても文章が理解できる日がきます。コツコツと根気よく頑張ってください。