ここでは、比較級の作り方を学習していきます。比較級は、スピーキングやライティングにおいて正確に使いこなせる日本人は少ないです。原因は文法を正しく理解していないからです。
ネイティブや映画などから覚えた比較表現を、文法を理解せずにそのまま使おうとしても応用することはできません。その結果、でたらめな英語になってしまいます。そのため、比較級を理論的に考え、ライティングやスピーキングで正確に使いこなせるよう学習する必要があります。
同等比較「~と同じくらい」の作り方
as+形容詞+asのパターン
同等比較とは、「~と同じくらい……だ」というas …… as~という表現です。まずは以下の例文で確認しましょう。
He is as tall as I.
では、この文章を細かく見ていきましょう。最初のasの品詞は副詞で、「同じくらい~」という意味です。形容詞であるtallを修飾しています。2つ目のasは接続詞または前置詞で、「~と比べて」という意味です。
これを踏まえたうえで、比較級を作っていきましょう。まずは基本の文、「彼は背が高い」を英語に直します。
では次に、「彼は同じくらい背が高い」と作ってみましょう。
副詞のasは形容詞のtallを修飾するので、形容詞の前に置きます。次に、「誰と比べて背が高いのか」を言います。
このように、ネイティブと同じように文頭から順に英文を作るとすると、「彼は同じくらい背が高い、私と比べてね」となります。2つ目のasは接続詞で、あとに主語と動詞が必要です。しかし主語の「I」で文章が終わっています。実はこのあとに、am tallが省略されており、本当の文章は以下のようになります。
2番目のasが接続詞であるのは、元が上記のような英文になるからです。しかし、英語は同じ単語を繰り返すのを嫌う言語なので、通常be動詞のamとtallを省略します。比較級に関してはbe動詞を残しても構いませんが、それ以降は省略するのが普通です。最終的な英文は、以下のようになります。
前述の通り、2つ目のasは前置詞としても機能します。この場合の文章は以下の通りです。
上の文は、どちらかというと会話でよく使われる表現です。このように、スタンダードの比較級の作り方を覚えさえすれば、応用を利かせることが可能となります。
as+副詞+asのパターン
最初のasの後ろに副詞が入るパターンを学習します。以下の例文を見てみましょう。
He runs as fast as I (do) / me.
fastは副詞ですが、上のように副詞(as)は副詞を修飾することもできますので、as fastという語順になります。それでは、また基本の文章から順番に作っていきます。
「彼は速く走る」を英語にすると以下のようになります。
「彼は同じくらい速く走る」であれば、
最後に、「誰と比べて同じくらい早く走れるか」を表現すると、
元の長い文は、「He runs as fast as I run fast.」です。しかし、あとのrunとfastは省略可能です。
文末のdoの用法ですが、これは代動詞と呼ばれます。一般動詞が2回目以降使われるときは、現在形の場合はdo, does、過去形はdid、現在完了形はhave, hasが使われます。
as+形容詞+可算・不可算名詞+asのパターン
最後に、「形容詞+可算(数えられる名詞)・不可算名詞」のパターンを学習します。例文を見てみましょう。
He has as many books as she (does) / her.
彼女は彼と同じくらい沢山の水を飲む。
She drinks as much water as he (does) / him.
作り方は、前述の2つの例文と同じ考え方です。名詞が可算名詞であれば、形容詞はmanyとなり、不可算名詞であれば形容詞はmuchとなります。
このように、理論的に比較級を学習すれば、実際に自分で1から比較級を作ることができる応用力をつけることができます。多くのの参考書は、「as~as」を決まり文句として教えてるだけです。その結果、学習者はasの間に形容詞か副詞を入れるだけの応用力しか身に付きません(実際はasの間に長い文章が入ることもあります)。
他にも、as young asやas fast asなど、これらを1つのかたまりとして暗記する傾向があります。その結果、文法を理解していないため自由自在に比較級を操れなくなってしまいます。こういったことを避けるためにも、まずは比較級を理屈で理解することが大切です。
比較級の否定文
比較級の否定文の場合は、「~ほど……でない」となります。以下の例文で確認しましょう。
I’m not as tall as he (is).
私は彼ほど速く走れない。
I can’t run as fast as he (does).