このページでは、現在完了形について学習していきます。この時制は英語特有のものであり、日本語には存在しない概念です。そのため、多くの学習者が使い分けに苦労します。まして俊敏性を求められるスピーキングにおいては、たくさんある時制の中からどれを使えばよいかなど考えている暇はありません。
ここでは、現在完了形の基本的な概念を説明します。まずは頭で理論的に理解し、その後何度も例文を音読することによって感覚的に現在完了形を使いこなせるようにトレーニングしていきましょう。
現在完了形とは
具体的な説明に入る前に、まずは現在形と過去形についておさらいしましょう。現在形とは、その名の通り現在の事柄について述べるときに使い、過去形は過去のことについて述べるときに使われます。では、次の例文を表現するとき、どの時制を使えばよいでしょうか?
私は去年からイギリスに住んでいます。
これは去年からイギリスに住み始め、現在も住み続けている状態です。つまり、過去形と現在形が組み合わさっているのです。この時に現在形完了形を使います。つまり現在完了形とは、過去に起こったことが今でも続いている状態を表すときに使われます。以下の例で各時制を比較してみましょう。
I live in England.
これは単に現在のことについて述べています。
I lived in England for three years.
過去のある時点において3年間イギリスに住んでいましたが、現在もイギリスに住んでいるかはわかりません。
I have lived in England since last year.
これは、「去年から現在に至るまでイギリスに住み続けている」ということを表します。
現在完了形の作り方
作り方は、「主語+have+過去分詞」です。haveは、主語がheやshe、itなどの第3人称単数形の場合はhasになります。過去分詞はtakeやgetといった動詞の原型が変化した形です。基本的に動詞の過去形の形とほぼ同じですが、中には不規則に変化する動詞もあります。
例えばhelpの過去形はhelpedで、過去分詞も同じくhelpedです。これは規則的な変化です。不規則変化する動詞の例を以下で見てみましょう。
現在形 | 過去形 | 過去分詞 |
eat | ate | eaten |
come | came | come |
is | was | been |
go | went | gone |
give | gave | given |
不規則変化する動詞は他にもありますが、どれも頻繁に使われる動詞なので何回も使っていれば自然に覚えてしまいます。こういった過去分詞の不規則変化形は全て辞書に載っています。スピーキングやライティングの練習の際には1つ1つの動詞に対し、規則変化なのか不規則変化なのかを調べて暗記してしまいましょう。
過去分詞は現在完了で使われる他に、過去完了(進行形)、未来完了(進行形)、受動態、過去分詞の形容詞的用法などで使われます(これらは別のページで学習していきます)。
現在完了形では、「主語+have」を短縮することができ、主に会話で使われます。短縮形は以下の通りです。
You have → You’ve
He, She has → He’s, She’s
Mary has → Mary’s
This, That, It has → This’s, That’s, It’s
They have → They’ve
have not → haven’t
has not → hasn’t
完了・結果・経験・継続
現在完了形は、上の4つの用法があります。それぞれの用法を1つ1つ見ていきましょう。
完了用法は、現在においてある動作や事柄が完了したときに使われます。
今昼食を食べ終わったところです。
I have just eaten lunch.
私は大学に行ってきたところです。
I have been to university.
結果用法とは、ある動作や出来事が起こった結果、「今どうなっているか」について焦点を当てるときに使われます。
He has gone to Italy. (その結果、今はここにはいないというニュアンスを含んでいます)
経験用法とは、過去において経験したことある事柄を表します。
Have you (ever) seen UFO? Yes, I have. / No, I have not. (haven’t)
イギリスに行ったことがありますか?
Have you (ever) been to England?
経験を表す現在完了の疑問文に関しては、しばしばever(これまでに)が使われます。
継続用法とは、過去に起こったことが現在まで継続しているときに使われます。
He has been married to her for three years.
「~と結婚する」は、be married toです。
I’ve known him since he was a kid.
sinceは(~以来)という意味で、現在完了と共に使われることが多いです。この時、since以下の時制は過去形になります。
現在完了進行形
現在完了進行形の作り方は、「have+been+動詞の進行形」となります。通常の現在完了形と同じく、haveは第3人称単数の場合は、hasに変化します。
現在完了進行形には完了、結果、経験用法はなく、ある動作が過去から現在にかけて継続しているときに使われる継続用法のときのみに使われます。また、現在完了進行形では動作を表す動詞(play, kick, run, pullなど)が使われます。
He has been playing the violin for three hours.
一方、状態を表す動詞(become, know, likeなど)の場合、通常は現在完了形が使われます。
I have known him since three years ago.
have been knowingとは言いません。
現在完了と過去形の使い分け
過去形は「過去のある時点の事柄」について述べ、現在どうなっているかは分かりません。一方現在完了形は、「過去のある事柄が現在も続いている状態」を表します。以下の例文で違いを確認しましょう。
He went to Kyoto. (今は京都にいるかは不明です)
He has gone to Kyoto. (今も京都にいる状態です)
財布を無くしてしまったが、見つけました。
I lost my wallet, but found it.
財布を無くしてしまいました。
I have lost my wallet. (現在もまだその財布が見つかっていない状態です)
経験を表す「Have you ever~?」に関しては、「Did you ever」のように過去形を使って表現することもできます。この場合、everは省略できません。
Have you (ever) seen him?
= Did you ever see him?
現在完了形とよく使われる副詞
現在完了形と共に使われる副詞は大体決まっています。これらは1つのフレーズとして覚えてしまい、会話でいつでも使いこなせるように何度も音読をして暗記しましょう。
私はちょうど宿題を終えたところです。
I have just finished my homework.
私は今宿題を終えたところです。
I have now finished my homework.
私は彼を5年前から知っている。
I have known him since five years ago.
私は彼を子供の時から知っている。
I have known him since he was a child.
私は最近京都に行ってきました。
I have recently been to Kyoto.
= I have been to Kyoto lately.
※「最近」には、他にもthese daysなどがあります。ただ、これらはあまり現在完了形とは一緒に使われません。
How long have you known him?
彼をいつから知っていますか?
Since when have you known him?
現在完了形と一緒に使えない副詞
中には現在完了形と共に使えない副詞が存在します。下記の例文のように、明らかに過去の事柄を表す副詞とは一緒に使えません。
彼は昨日中国から帰ってきました。
He came back from China yesterday.
彼は1週間前に彼女と知り合った。
He knew her one week ago.
いつ彼女と知り合ったのですか?
When did you know her?
現在完了形の基本的な概念は以上となります。冒頭でも述べたように、この時制を流暢に使いこなすには相当な練習が必要となります。まずは文法を理解し、何度も例文を音読して暗記をし、自分の言葉で実際に現在完了形を使う練習をしてください。そうすれば、徐々に使いこなすポイントが分かってきます。