ここでは、受動態の基礎とスピーキングやライティングでの使い方について説明します。受動態の形は決まっていますので、それさえ覚えてしまえばあとは慣れの問題です。まずは理屈を理解し、何度も例文を音読して受動態を体に叩きこみましょう。
能動態と受動態
「~する」という能動的な概念を能動態といい、「~される」という受け身の概念を受動態と言います。受動態の作り方は、「主語+be動詞+(not)+動詞の過去分詞形+(by+動作主)」です。能動態と受動態の文を比較してみましょう。
Everyone likes her. (能動態)
彼女は皆から好かれている。
She is liked by everyone. (受動態)
このように受動態の文では、能動態の目的語が主語になり、主語の単語がby+動作主に置かれます。
上記の例文では、能動態の目的語はherであり、主語はeveryoneです。助動詞を使った受動態の場合は、以下の例文のように「主語+助動詞+(not)+be動詞+過去分詞+(by+動作主)」となります。
This fact must not be forgotten. (受動態)
We must not forget this fact. (能動態)
第3文型の受動態
第3文型の受動態が基礎となります。受動態の形を用いるためには、能動態の文章の中にある目的語を主語にする必要があります。そのため、目的語がない第1文型と第2文型に関しては受動態の形を作ることができません。
それでは、下記の例文で第3文型の受動態を確認しましょう。
Everyone reads the book. (能動態)
The book is read by everyone. (受動態)
このように、能動態の目的語であるthe bookが受動態では主語にきて、主語であるeveryoneはby+動作主にきます。では、次の例文はいかがでしょう。
I bought this book for him at the book store yesterday. (能動態)
This book was bought for him at the book store yesterday (by me). (受動態)
このように、能動態の目的語の後ろにfor him at the book store yesterdayのような長い副詞がくる場合もあります。これを受動態に変えるときのコツとは、能動態の目的語(this book)だけを取り出してそれを主語に置き、その後ろにbe動詞+過去分詞+残りのフレーズ+by動作主を並べるだけです。実際の英文では「by+動作主」はよく省略されます。
第4文型の受動態
第4文型の受動態は、間接目的語と直接目的語を主語に置くことができます。例文で確認しましょう。
I’m going to give him chocolate on Valentine’s Day. (能動態)
Chocolate is going to be given him on Valentine’s Day (by me). (直接目的語を主語にした受動態)
作り方のコツは第3文型の時と同じで、能動態の目的語だけを取り出してそれを主語に置き、be動詞+過去分詞+残りのフレーズ+by動作主を並べるだけです。be動詞+going toは例外で、「be動詞+going to be+過去分詞」という形になります。
直接目的語を主語にした第4文型の受動態の場合は、下記のように第3文型の形の受動態に書き換え可能です。
I’m going to give chocolate to him on Valentine’s Day. (第3文型の能動態)
基本的には、直接目的語を主語にした受動態の場合は第3文型と第4文型どちらにしても構いません。ただし、第3文型の方が実際の英文ではよく使われるようです。
以上で受動態の基礎は終わりです。受動態の文章は、慣れてしまえば簡単に作れるようになります。ライティングやスピーキングで使えるようになるためには、能動態と受動態の書き換え(言い換え)練習を何度も行うのが効果的です。