多くの学習者は、「日本語を読むときと同じように、英語も頭から読めるようになりたい」と思います。ただ、それができるようになるための方法がわからず、リーディング力が伸び悩むことが頻繁にあります。
頭から英文を読むことができない原因の一つに、そういった方法論を教えている書籍やスクールが圧倒的に少ないことがあります。世の中には、誤ったリーディング学習法が出回りすぎています。書店に行けば、決まって「多読をすれば自然に英文をスラスラ読めるようになる」といった本がたくさん置かれています。
しかし、残念ながら大人の日本人が基礎力なしに多くの英文を読むと、そのほとんどを誤読する傾向があります。
頭から英文を読むための思考法を学ぶ
日本語が母国語である人は、英文をたくさん読んで自然と理解できるようになることは間違いなくありません。そうではなく、どのようにして文頭から英文を読めばよいかということを理論的に学ぶ必要があります。
私はハリーポッターが好きでしたので、小説は全巻読破しました。そして、「英語でも読んでみたい」という思いもありました。さっそく本屋で1巻を購入しましたが、すぐに読むことを諦めてしまいました。
単語が難しいだけではなく、文体が非常に入り組んでいてとても難解だったからです。辞書で単語を調べても文法力がなかったので、文章の言いたいことが全く理解できませんでした。
そこで、一度原書で読むことを中断し、基礎力をつけることに注力しました。具体的に言えば、文法力と単語力、そして頭から英文を読むための思考法を勉強しました。
その結果、現在では小説だけではなく、新聞や雑誌でも問題なく読むことができます。
このように、英語を読めるようになるためには、意識的に勉強をする必要があります。そのためにも、英文読解を理論的に学んでいくことが重要です。
予測・確認・修正で英文を読んでいく
英語を読む際、上級者は予測、確認、または修正のプロセスを通って英文を理解していきます。予測とは、次にどんな単語や品詞、または構文などがくるかを予測することを指します。下に例を挙げます。
On the hill~
このようにきたら、上級者は「次に主語がくるか、倒置で動詞+主語がくる」と予測します。さらに読み進めると、以下のような文章が視界に入ります。
On the hill stands a hut.
動詞+主語という形がきたので、この文章は倒置であることが分かります。ここで前に予測していたことが当たっていたので、確認というプロセスになります。もしここで、「On the hillのあとには主語+動詞がくるかな」と予測していたら、実際は動詞+主語という倒置だったのでここで予測を修正します。これが、予測、確認、修正です。
このように、英語上級者であれば次にくる英文を読み進めながら予測しています。こうすれば、頭から英文を理解することが容易になります。
こういった思考法はリスニングにも応用ができます。「速読ができるようになればなるほどリスニング力も上がる」と言われるのはこれが理由です。
実際のリーディングでは、こういった予測、確認、修正という作業を一瞬で行っていく必要があります。これができるようになるには、年単位の訓練が必要です。時間はかかりますが、地道に努力して真のリーディング力を身につけてください。