通常の文の語順を入れ替えて、ある語句を強調することを倒置と言います。これは、主に書き言葉で使われる表現であり、新聞や雑誌などで見られる表現方法です。ビジネスでのEメールや、論文を書くときなどでも使われます。ここで倒置を学習して、ライティングで使えるようになりましょう。
このセクションでは、以下の倒置構文を学んでいきます。
(As)+形容詞、副詞+as (= though)+主語+動詞
動詞+as (= what)+主語+動詞
仮定法の倒置構文(Ifの省略)
仮定法の倒置構文は、「ifを省略して疑問文の語順にする」ことによって表します。倒置にすることが出来るのは、「仮定法過去完了」、「were to」、「should」、「if it were not for」, 「if it had not been for」の構文です。それぞれの構文の意味は、以下のようになります。
were to 「もし~であるならば(未来においての実現性が限りなくゼロ)」
should 「もし~であるならば(未来のおいての実現性が低い)」
If it were not for 「もし~がなければ」
If it had not been for 「もし~がなかったならば」
それでは、以下の例文でそれぞれの倒置構文を確認しましょう。
仮定法過去完了
Had I had much money, I could have bought that car.
= If I had had much money, I could have bought that car.
倒置構文の作り方は、「Ifを省略して疑問文の語順にする」ということでした。上記の例文では、「助動詞+主語+動詞(過去分詞)~」という疑問文の語順になっており、「Do you like~」のような語順と全く同じ形です。
・were to
Were the sun to rise in the west, he wouldn’t mend his ways.
= If the sun were to rise in the west, he wouldn’t mend his ways.should
もし明日雨が降ったら、サッカーの試合を中止します。
Should it rain tomorrow, we will call off the soccer game.
= If it should rain tomorrow, we will call off the soccer game.
・If it were not for
Were it not for your help, I couldn’t finish this homework.
= If it were not for your help, I coudn’t finish this homework.
・If it had not been for
Had it not been for your help, I couldn’t have finished this homework.
= If it had not been for your help, I couldn’t have finished this homework.
このように、全ての構文の倒置は疑問文の語順と全く同じになります。慣れてしまえばスラスラと文章を作ることができますので、何度も文章を書いて、倒置構文の形に慣れてしまいましょう。
(As)+形容詞(副詞)+as(= though)+主語+動詞
これは、「~だけれども」という譲歩の意味を表し、ThoughやAlthoughと同じ意味になります。仮定法の倒置構文と違い、疑問文の語順にはしません。元々動詞の後ろにあった形容詞(副詞)を文頭に置き、後ろにasやthoughをつなげて「主語+動詞」を置きます。
また、文頭にasをつける場合は「As+形容詞(副詞)+as」という形になります。例文を見てみましょう。
(As) unbelievable as (=though) it was, she finally accepted it.
= Although (= Though) it was unbelievable, she finally accepted it.
一生懸命勉強したが、彼は風邪をひいてしまい試験を受けれなかった。
(As) hard as (= though) he studied, he had a bad cold and couldn’t take the exam.
= Although (= Though) he studied hard, he had a bad cold and couldn’t take the exam.
この構文をスピーキングで使う場合は、AlthoughかThoughを使いましょう。特に、Thoughは会話でよく使われます。
動詞+as (what)+主語+助動詞
動詞を倒置させる場合、その後に「as(what)+主語+助動詞」を持ってきます。whatは、「何」という疑問詞と同じ意味で使われます。書き換え表現は、No matter構文や複合関係代名詞の構文を使います。以下の例文で確認しましょう。
Try as he would, he couldn’t open the door.
= No matter how much he tried, he couldn’t open the door.
彼女が何と言っても、彼の心は変わらないだろう。
Say what she will, he won’t change his mind.
= No matter what she says, he won’t change his mind.
= Whatever she says, he won’t change his mind.
スピーキングで「どんなに~でも」という意味の文章を作る場合は、No matter構文を使いましょう。「どんなに~でも」という意味でWhateverやWheneverなどの複合関係代名詞を使う場合、主に書き言葉で使用されます。