ここでは、擬似関係代名詞を学習していきます。関係代名詞の中でも使いにくい文法ですが、会話でも使われますので何度も音読して体得しましょう。
疑似関係代名詞とは
本来、文と文をつなげる接続詞として使われるas, but, thanを関係代名詞として使うことがあります。これを、疑似関係代名詞と言います。ちなみに関係代名詞とは、ある名詞を修飾する文章のことを言います。以下の例で確認をしておきましょう。
The girl who is sitting on a chair
関係代名詞の基礎は以下のページで学ぶことができます。
[/aside]疑似関係代名詞では、whoの代わりにas, than, butのいずれかを使う形となります。これを理解するためには、関係代名詞の基礎を理解していないといけませんので、上記のリンクで学習をしてください。それでは、以下にそれぞれの用法を解説していきます。
asの用法
such A as ~ 「~するようなA」
この形は、asが関係詞でその先行詞はAとなります。先行詞とは、関係詞の元の名詞のことを指します。以下の例文で確認しましょう。
Do such jobs as will give you a sense of satisfaction.
ここでは、jobsがasの先行詞となります。この文章を2つに分けると、以下のようになります。
逆に、これを関係代名詞として使うには、Doとjobsの間にsuchを入れ、The jobsをasに変えます。そうすれば、最初の例文の形になります。
「as will give you a sense of satisfaction」という関係詞の文章(関係詞節)内では、asは主語としての働きを持っています。そのため、これを主格と呼びます。この他に、asが目的語として働く目的格と言います。
Do such jobs as you can get a sense of satisfaction from.
この文章を2つに分けると以下のようになります。
このように、asの先行詞であるjobsは、fromの目的語になっています。そのため、jobsは目的格になります。この文章を関係代名詞に戻すには、Doとjobsの間にsuchを入れ、そのあとにasを入れて残りの文章をつなげます。最後のthe jobsは取り除きます。
スピーキングで疑似関係代名詞を作る際、このような考え方で文章を作っていく練習をしましょう。まずは2つの文章に分け、そして元の関係代名詞の文章に戻すという練習を、音読によって行っていきます。そうすれば、徐々に関係代名詞を作る感覚が分かってきますので、流暢性も上がっていきます。
比較級のas
疑似関係代名詞のasは、比較級の中でも使われます。以下の例文で確認しましょう。
I don’t have as expensive a car as he always drives.
この文章は同等比較のas~as構文であり、「~と同じくらい・・・」という意味になります。最初のasは副詞で、expensiveを修飾して「同じくらい高い」という意味になります。
ここでは、2番目のasが疑似関係代名詞となり、a carがasの先行詞です。後半の文章は、元は「he always drives a car」です。driveという動詞の目的語なので、この関係代名詞は目的格となります。
比較級は、日本語の語順と逆になってしまうので最初は混乱してしまいます。さらに、疑似関係代名詞も加わるとなると、スピーキングで使うにはかなりの練習が必要です。そのためには、ネイティブと同じように頭から文章を作る感覚に慣れなければいけません。上記の例文をもとに、その手順を以下に解説します。
まずは、「私は(値段が)高い車を持っていない」と訳します。
次に、「私は同じくらい高い車を持っていない」と訳します。
asが入ると、冠詞のaはexpensiveの後ろに置かれることに注意しましょう。ここまで訳したら、「彼がいつも運転しているのと比べて」という風に考え、以下の英文のように訳します。
このような発想で、前から順番に英訳していくことに慣れていってください。
the same A as (= that) 「~と同じA]
これは、基本的な関係代名詞と作り方が変わりません。そのため、他のasの用法と比べて使いやすいです。例文で確認してみましょう。
He has the same watch as I bought yesterday.
asの先行詞が、watchとなります。後半の「I bought yesterday」では、watchは元々boughtの目的語として後ろに置かれているので、これは目的格となります。
また、asはthatに言い換えが可能であり、目的格のthatは省略することが可能です。会話では主に、こちらの形がよく使われます。
主節やその一部を先行詞とする
この使い方は、関係代名詞の非制限用法と同じ役割を果たします。非制限用法は、先行詞に対して補足的な説明を加えたい時に使われます。
それでは、例文で確認してみましょう。
As you may know, I left the company last month.
asの先行詞は、「I left the company last month」となり、非制限用法の「I left the company last month, which you may know」と同じ意味となります。whichと唯一違う点は、asの場合は文頭に来ることができます。元の文章は、「You may know it」となり、itが「I left the company last month」を指しています。
「as you may know」は決まり文句のように使われており、会話でもよく使われます。次の例文では主格の関係代名詞を確認します。
As was expected, he was late.
先行詞はhe was lateであり、この部分が本来はwas expectedの主語となります。元の文章は、「It was expected」となります。
次の文章は、決まり文句的に使われています。
As is often the case with young people, they tend to act without considering the consequences.
As is often the case withは慣用表現で、「~によくあることだが」という意味です。これはこのまま覚えてしまって問題ありません。
butの用法
これは現在ではかなり古い言い方とされており、書き言葉で使用されます。そのため、スピーキングでは使われることがほとんどありません。
There is no one but has faults.
butが関係詞であり、先行詞はno oneです。このbutは特殊で、元々notの意味が含まれています。そのため、but doesn’tとするのは誤りです。ちなみに、この用法は会話ではまず使われませんので代わりに以下の例文を使いましょう。
thanの用法
asと同じく、比較級構文で使われます。以下の例文で確認しましょう。
He has spent more money than he was supposed to (spend).
比較級を作る時の考え方は、asの時と同じです。thanの先行詞はmoneyであり、supposed to の後ろはspend more moneyが省略されています。moneyはspendの目的語なので、この関係代名詞は目的格となります。
次に、主格の関係代名詞を見てみましょう。
Don’t spend more money than is needed.
「is needed」の主語は、本来はmoneyです。そのため、これは主格となります。
まとめ
疑似関係代名詞はこれで以上です。これらを使いこなすには、まずは基礎となる関係代名詞をスラスラと作れるようにしてください。そうすれば、あとは関係詞のwhichやwhoをas, thanなどに変換するだけなので、比較的簡単に作ることができます。
例文音読を何度も行い、暗記をすることで徐々に自分の言葉でこれらの文章を作ることが可能になってきます。