2015年12月18日、日本英語検定協会は、新たなスコア尺度である「CSE2.0」の完成を発表しました。
ここでは、英語検定におけるCSE2.0の導入とその他の変更点について解説します。これまで英語検定の合格経験がある方はもちろん、受験経験のない方も、今後の英語学習の参考にぜひご覧ください。
CSE2.0の導入と予想される影響について
CSE2.0の説明をする前に、もう一つ別の指標である「CEFR」の説明をします。CEFR(セファールと発音します)とは、Common European Framework of Reference for Languagesの略称です。CEFRは、「語学のコミュニケーション能力をレベル別に示す国際基準規格」です。A1レベル(初級学習者)からC2(熟達した学習者)までレベル分けがされています。
CSE2.0は、Common Scale for Englishの略であり、今回、日本英語検定協会が日本生涯学習総合研究所と共同開発したスコア尺度です。CSE2.0は、国際基準規格であるCEFRと関連性を持たせてあり、4技能(スピーキング、ライティング、リーディング、リスニング)について、それぞれの技能を1,000点満点、4技能合計4,000満点でスコア化してあります。
2016年度第1回目試験からは、CSE2.0を用いて合格判定がされることとなりました。自分の4技能の能力がれくらいなのか、具体的なスコアで知ることができるようになります。また、合格認定証には自身のCSE2.0スコアが記載されることとなります。
前述のとおり、CSE2.0はCEFRとも関連性がありますので、その人の英語力を判断する際において、信頼性と精度の高い尺度として活用されることになるでしょう。事実、日本英語検定協会は、今後CSE2.0が多くの大学入試選抜試験において導入されるであろうと発表しています。
現在、英語力の指標としてはTOEIC試験が普及していますが、TOEIC試験はリスニング及びリーディングの2技能に限られています。今後は、TOEIC試験に代わる英語力の指標として、4技能がスコア化されるCSE2.0が広く活用されるのではないかと予測されます。
もっとも、これまでの英検において、4技能が試験されてきたのは1級及び準1級のみでした。2級、準2級及び3級については3技能(リーディング、リスニング、スピーキング)の試験、4級及び5級に関しては、2技能(リーディングとリスニング)のみの試験にとどまっていました。
この経緯を踏まえ、日本英語検定協会は、2級、準2級及び3級の4技能化を進めています。第1段階として、2016年度第1回試験からは2級にライティングテストが導入され、4技能化されることとなりました。このため、2級の試験時間は従来の75分か85分へと変更されました。
CSE2.0の導入や2級の4技能化に加え、2016年度第1回試験からは、他にもいくつかの変更が予定されています。そのうち特筆すべき変更点としては、ライティングテストの採点方法のマイナーチェンジがあげられます。
CSE2.0が導入されたことにより、自身の英語能力を国際基準規格であるCEFRに換算することが可能となりましたが、CEFRとの整合性をより高めるため、ライティングテストにおいては、「観点別採点」が導入されます。
具体的には以下の通りです。
「内容:課題で求められている内容が含まれているか」
「構成:英文の構成や流れが分かりやすく論理的であるか」
「語彙:課題に相応しい語彙を正しく使えているか」
「文法:文構造のバリエーションやそれらを正しく使えているか」
上記のの4項目を基準に採点されます。
大学でアカデミックライティングに触れたことがある方にはアドバンテージがあると思いますが、あまり慣れていない方がほとんどかと思います。今後は、この4項目を重点的に意識して対策しましょう。
まとめ
2016年度第1回試験からの最大の変更点は、CSE2.0の導入です。これにより、4技能の能力をスコア化して知ることができるようになります。また、このスコアは、国際基準規格であるCEFRに換算することも可能です。
すでに英語検定の合格経験がある方は、自身の4技能の再評価として、同じ級または上位級を受験されることをすすめます。今後、CSE2.0の普及が見込まれますので、今のうちに自身のスコアを把握しておきましょう。ご自身のスコアをもとに、今後の学習計画も変わってきます。
英語検定は、TOEIC試験と比べると、よりアカデミックな内容の試験です。出題される語彙や文章のテーマも、TOEIC試験のそれと比べるとやや難易度が高いものが多いですから、自身の英語能力のステップアップとして、ぜひ受験されることをおすすめします。