日英通訳トレーニングとは、相手が日本語で話したことを英語に通訳することを指します。これは通訳学校で必ず行われる練習法です。多くの人は、「この練習法は学校へ行かないとできない」と思っています。実はこれは独学でも可能であり、私自身もこのトレーニングで通訳ができるようになりました。ここでは、皆さんにそのやり方を解説していきます。
音声ではなく、新聞紙で英訳トレーニングをする
まずは、日本語の新聞を用意してください。多くの場合、音声を用いてトレーニングをします。しかし、いきなり日本語ニュースを聞いて日英通訳をするのはかなり難しいです。そのため、新聞などを使って自分のペースで英訳をする練習をしていきます。
新聞はそんなに専門的な内容は書かれていなく、経済や政治欄などでも一般の人が分かる内容で書かれています。そのため、理想は新聞の全記事をスラスラと英訳できることです。そうすれば、通訳中に出てくるかもしれない一般的な内容についてはほぼ全てカバーできるということになります。
更に上を目指したいのであれば、Newsweekなどの日本語訳も発行されている雑誌で日英通訳練習をするとよいでしょう。かなり難解ですが、新聞と比べてもより引き締まった文体などを学習することができます。ぜひチャレンジしてみてください。
新聞や雑誌を使った練習は非常に時間がかかりますが、コツコツと練習を重ね、少しずつ通訳できる内容を増やしていきましょう。初見の記事をスラスラと訳せるようになったらゴールです。そこまで行けば、音声を聞いて瞬時に英訳ができるようになっているはずです。つまり、同時通訳が可能なレベルです。
トレーニング方法
まずは日本文を見て、自力で口頭英訳をしてください。わからない専門用語などは言い換えをし、何とか英訳できるように頑張ってください。一通り訳し終わったら、辞書を使ったり英語で書かれた同じ内容の新聞記事を見て、使えそうな単語やフレーズを探してください。
使えそうなものは盗み、もう一度それらの単語を使って同じ記事を英訳していきます。このようなプロセスを踏んで少しずつボキャブラリーを増やしていってください。盗んだ表現はノートやエクセルなどに保存しておき、オリジナルの日英表現集を作るといいでしょう。
どのシチュエーションでも使える便利な英語表現をストックする
いくら上記の練習方法で英語力を上げて準備万端で通訳現場に臨んだとしても、英語に訳しづらい表現などに出会うことは頻繁にあります。私自身もそういった表現に出会うたびに、いつも冷や汗をかいています。
その時に役立つのが自分専用の便利表現です。これらは、「適切な訳語が見つからなかったらこの表現で逃げる」といった緊急事態に備えて覚えておく守備範囲の広い表現のことを言います。私もこういった表現は何個かストックしあります。
例えば、「迷惑をかける」や「大変な目にあう」という何か自分に対して嫌なことがあったというニュアンスに関しては、すべてtroubleを使っています。他にも、「~してみたが駄目だった」や「~したが失敗に終わった」という動詞に対してはfailを使います。
日本語に通訳する際にもこのような表現をストックしておくとよいでしょう。例えば、英語にはgreat, nice, wonderful, marveous, brilliant, amazing, awesomeなどといった類語がいくつもあります。これら1つ1つの訳を覚えても、現場ではなかなか出てこないものです。私の場合、これらは全て「素晴らしい」と訳しています。
これらの表現収集法ですが、私は全て新聞の日英通訳トレーニングの中で集めていきました。このトレーニングをしていると、だんだんと自分の英語の癖に気づき、そこで自分がひんぱんに使う単語やフレーズがわかってきます。そういった表現が自分の便利表現になるのです。
これらを100個ほど集めれば、あとは専門用語さえ覚えれば大体の通訳はできてしまいます。このトレーニングを通して、ぜひ自分のオリジナル表現集を作ってください。