英語を流暢に話せるようになるには、英文法や例文の音読・暗記が欠かせません。しかし、これらは全てインプットの作業です。英語を自由自在に使いこなせるようになるには、実際に覚えた例文を自分の言葉として使ってみることが大切です。
こういったアウトプットの練習の1つに、「自分の身の回りのことを全て英語で表現できるようにする」練習があります。これはとても効果的な練習方法であり、ネイティブと話さなくても自分のスピーキング力を高めることができます。
対訳本を使い、英語で話せる幅を広げる
上記の練習の他に、「対訳本(日本語と英語の両方の訳がある本)を使って英語を話す練習」をお勧めします。本来、こういった本は、英訳を読んで読解力を上げるために使われます。しかしここでは、和訳を見て口頭で英訳をする練習に利用します。つまり、一人で日英通訳をするのです。
このトレーニングの利点は、模範解答である英文を見ることで表現力を豊かにすることにあります。また、「なぜこの文脈でこの単語が使われているのか」を考えることで自然に語感が身に付きます。適切な文脈で適切な単語を使うことができるようになるのです。
自分一人では思いつかないであろう日本語表現を英訳する練習をするので、表現の幅を広げることができます。また、長い文章を英語で表現する練習にもなります。
対訳本を使ったトレーニング方法
まずは和文を見て、力試しをしてみてください。つまり、辞書を用いずに自力で英訳をするのです。一通り英訳が終わったら模範解答を見て、使えそうな表現や気に入った言い回しをそこから盗みます。
そしてもう一度和文をみて訳しますが、今度は盗んだ表現を組み合わせて再度訳していきます。一通りスラスラと訳せるようになるまで繰り返し、それができたら次の新しい和文で同じことを行います。こうすることで、自分の英語力がどんどん磨かれていきます。
私が日本にいながら日常英会話を問題なくできるようになったのも、このトレーニングを行ったからです。むしろ、これ以外にスピーキングのトレーニングはしていません(その前に文法の勉強と例文の暗記をしました)。
ネイティブと実際に話す練習を始めたのも、一通りこのトレーニングをこなした後でした。おかげで、今は何の問題もなくネイティブと会話できています。
スピーキング練習にお勧めの本ですが、最初は童話が取り組みやすいでしょう。慣れてきたら徐々にステップアップしていき、中級者には日本の文化に関する対訳本などがお勧めです。
これを初見でつまずくことなく訳せるようになれば、日常英会話はかなり簡単と思えるでしょう。さらに上を目指す人は、天声人語や朝日新聞を英訳していく練習もしましょう(このトレーニングは、私も現在続けています)。日本語特有の難しい表現が頻繁に出てきますので、とてもいい勉強になります。
また、ネイティブが使うようなくだけた表現を練習したいのであれば、マンガを使うことが有効です。日本語から発想できないような英訳がたくさんありますが、諦めずに何度も音読して暗記するしかありません。
このようにして、徐々に難しい記事を口頭で英訳できるようになりましょう。練習すれば練習するほど、スピーキング力が上がっていきます。