私たち成人の日本人が英語を自在に使いこなすためには、まずは母国語である日本語を元に英文を作ることが大切です。「英語を英語で考える」ことは、そのあとにできるようになります。ここでは、日本語を元にどのようなプロセスで英文を作るか、実際に見ていきましょう。
日本語を使って英語を訳す方法
例えば、頭の中で以下の和文が思いついたとします。
「彼は転職するべきかどうか躊躇している。家族を養うだけの給料がもらえないのが理由だ」
まずは、「彼は転職するべきかどうか躊躇している」の部分から訳し始めます。英語の基本的な語順は「主語+動詞+目的語」なので、まずは主語を決めます。ここでは「彼」が主語です。
次に動詞を決めますが、「転職する」と「躊躇する」の2つがあります。英語では、メインとなる動詞を先に言います。そのため、「転職するべきかどうか(について)躊躇している」と考え、メインの動詞は「躊躇している」と決めます。ここでは ditherを使っていきますが、hesitateでも構いません。
では、「~について躊躇する」は何と表現するでしょうか? 答えはdither overです。ここで、「ditherの後ろにはoverという前置詞がくる」という語法の知識が問われます。
「転職する」はswitch (=change)jobsと言います。「~するべきかどうか」についてはwhether he should ~ (or not)で表現できます。
Whetherの構文は名詞節を作れるので、dither overという前置詞の後ろに持ってくることが可能です。これで「彼は転職するべきかどうか躊躇している」の部分が作れます。
He is dithering over whether he should switch jobs (or not).
つぎに、「家族を養うだけの給料がもらえないのが理由だ」を訳します。「給料をもらう」はget a salary です。「家族を養う」は support his familyです。
では、「家族を養うだけの給料がもらえない」はどう処理すればよいでしょうか。ここで、enough to構文を思いつくかどうかがカギとなります。
He can’t get enough salary to support his family.
(またはso that構文を使ってもよいでしょう)
「~が理由だ」の部分ですが、The reason is thatで訳すことができます。
The reason is that he can’t get enough salary to support his family.
全文を訳すと以下のようになります。
He is dithering over whether he should switch jobs (or not). The reason is (that) he can’t get enough salary to support his family.
これでも良いですが、「彼は転職するべきかどうか躊躇している」と「家族を養うだけの給料がもらえないのが理由だ」はピリオドを打つまでして区切る必要はありません。その代わりに、以下のような独立分詞構文を使います。
He is dithering over whether he should switch jobs (or not), the reason being (that) he can’t get enough salary to support his family.
これで以上です。最初はこの文章を作るのに3分~5分ほどかかるでしょう。「転職する」や「養う」を何と言えばよいか、またそれぞれのフレーズをどのようにつなげればよいかなどで迷うのです。
ただ、最初はそれでも全く問題ありません。それよりも、正確な英文を作れるようになる方がよっぽど重要です。このようなプロセスで英文を作っていけば、徐々に文章を作るスピードが速くなっていきます。また、「enough toや独立分詞構文がどういった状況で使えるか」が感覚的に分かってきます。
そのレベルまで達したら、先の例で示したような日本語を思いついたときに1秒以内に英語で話し始めることができます。そうすれば、「英語を英語で考える」境地に次第に近づくことが可能となるのです。
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