ここでは、独り同時通訳をどのようにして練習すればよいかについて解説します。「ネイティブと話さず、一人で英語をペラペラと話していたほうがより効果的である」ということを理解したとしても、具体的にどう進めればよいかわからない人が大多数です。このようなことを踏まえ、例文を用いながら以下に説明をしていきます。
例えば、日本語で以下の例文を思いついたとします。
今日も仕事はとても大変でした。家に帰る直前に、クライアントに請求書を送るようにと上司が言ってきたからです。
それでは、一文目から英訳をしていきます。「今日の仕事はとても大変でした」は、日本語を直訳してToday’s work was very tough.でも通じます。ただ、もう少し上のレベルになってくればI had a very tough work todayという表現も思いつくようになります。これは、日ごろの例文音読・暗記によって徐々にこういった英語らしい表現が身についていきます。
次の日本文は少し長めです。「家に帰る直前に、クライアントに請求書を送るようにと上司が言ってきたからです」。ここで、「直前に」が英語で思いつかないとします。そのときは和英辞書を調べます。すると、Right (= Just) beforeという接続詞が載っていますので、これを使います。
「家に帰る」は何と言えばよいでしょうか。これも和英辞書で調べてみます。「家」を調べると、だいたいhouseとhomeが見つかります。そして和英辞書によっては、go homeというコロケーションが見つかります。
もしgo homeが載っていない場合、英和辞書を使ってhouseかhomeを調べてください。そこでgo homeというコロケーションを見つけることができます。これで、「家に帰る直前に」を英語で話すことができます。Right (= Just) before I went home, と作ります。
次に、「クライアントに請求書を送るようにと上司が言ってきた」を英訳します。「~に……と言う」を英語で何と言えばよいかわからない場合、「言う」を和英辞書で調べます。すると、sayやtellが見つかります。
今度は、sayとtellの語法を英和辞書で調べます。そして、tell+人+to doという語法を見つけることができます。これで「~に……と言う」を訳すことができます。請求書は和英辞書で調べて、invoiceを見つけることができます。
「~に……を送る」の英訳方法も、上記と同様の方法で和英・英和辞書を使います。そして、sent~to……を見つけることができます。これで、「クライアントに請求書を送るようにと上司が言ってきた」を英訳することができます。
My boss told me to send an invoice to the client.
では、「~が言ってきたからです」はどう英訳すればよいでしょうか。これは単語力というよりも、文法力が試されるところです。
文章の作り方は様々ですが、It is because right before~とつなげてもよいし、I had a very tough work todayの従属節としてbecause my boss~としてもよいです。
これですべて英訳し終わりました。文章は以下のようになります。
I had a very tough work today because right before I went home, my boss told me to send an invoice to the client.
I had a very tough work today. It was because right before I went home, my boss told me to send an invoice to the client.
このように、一通り英訳をし終えたあとは流暢に上の文章を話せるように何度も音読してみてください。このとき、紙には書かずにあたかも初めから文章を作るかのように英文を1から作り直します。これによって脳に負荷がかかり、英語の語感に慣れることができます。
このようにして、思いついた日本文をどんどん口に出して英訳をしていってください。これを1年間続ければ、自分の言いたいことのほとんどを英語で表現できるはずです。