英単語を覚えても話せない理由|単語帳を10冊やっても英語が口から出ない人へ

「英単語をたくさん覚えれば英語が話せるようになる」
多くの人がそう信じています。
- 単語帳を買い、毎日100語を回し、赤シートで隠して暗記する。
- TOEICの語彙パートは解けるようになった。英文を読めば大意はつかめる。
しかし、いざ英語で話そうとすると、頭が真っ白になる。覚えたはずの単語が、口から出てこない。
もしあなたがこの状態にいるなら原因は明確です。
単語の「意味」を覚えているだけで「使い方」を覚えていないからです。
「知っている」と「使える」はまったく別の能力
prevent という単語を知っていますか。意味は「防ぐ」です。
多くの人がそう答えます。
では、英語で「彼がそれをするのを防ぐ」と言えますか。
答えは prevent him from doing it です。
preventの意味を知っていても、from doing という語法を知らなければ、この文は作れません。
これが「知っている」と「使える」の差です。
多くの単語帳には「prevent = 防ぐ」としか書いてありません。
テストではそれで正解できるかもしれません。
しかし会話では不正解であり、fromがなければ英文は成立しないのです。
私もかつてたくさんの英単語帳を購入し、単語を丸暗記をしていた時期があります。
ですが、いざネイティブを目の前にすると覚えたはずの単語が全く使えなかったんです。
それは上記のように、その単語の使い方を知らなかったからです。
単語帳が教えない「3つの情報」
英語を話すために必要な語彙力とは、単語の意味を知っていることではありません。
以下の3つを知っていることです。
1. 語法(どの前置詞・構文と組み合わせるか)
- depend on (〜に頼る)
- insist on (〜を主張する)
- apologize for (〜を謝る)
- provide A with B (AにBを提供する)
意味だけ覚えても、on なのか for なのか with なのかがわからなければ、正しい文は作れません。
前置詞1つ間違えるだけで、英語話者には「不自然な英語」に聞こえます。
2. コロケーション(自然な組み合わせ)
- make a decision(決断する)→ ○
- do a decision → ✗
日本語では「決断をする」ですが、英語では make です。
do ではありません。
これは理屈ではなく、ネイティブがそう使うからということで丸暗記をします。
このように、コロケーションを知らないと文法的には正しいのに不自然な英語になります。
3. TPO(どの場面で使うのがふさわしいか)
- “That’s awesome!” → 友人との会話 ○、取引先へのメール ✗
- “I appreciate your assistance.” → ビジネスメール ○、友人との会話 ✗
同じ「ありがとう」でも、場面によって使うべき表現はまったく違います。
単語帳には、このTPOの情報がほぼ載っていません。
なぜ単語帳はこの形式なのか
単語帳が「英単語 = 日本語訳」の形式を採用しているのは、テスト対策に最適化されているからです。
TOEICや英検の語彙問題は「意味を知っているか」を問います。
4択の中から正しい意味を選ぶだけだり、語法もコロケーションもTPOの知識も不要です。
つまり、単語帳はテストに受かるための道具であって、英語を話すための道具ではないということです。
テスト対策と英語習得は、目的が根本的に違います。
テストで高得点を取っても話せない人が多いのは、道具の選択が間違っているだけです。
通訳者はどうやって単語を覚えているか
自分が通訳者として働いていたとき、depend on, insist on, count on, rely on, provide A with B — こうした「動詞+前置詞」のセットを何千個も記憶していました。
意味だけではありません。使い方ごと、丸ごと覚えていたのです。
だから同時通訳のとき、考えなくても正しい前置詞が出てくる。毎回「onだっけ?forだっけ?」と迷っていたら、通訳は成り立ちません。
これは特別な才能ではありません。語法とコロケーションを軸にして単語を覚え直すだけで、誰でも到達できる状態です。
まとめ:「意味」ではなく「使い方」で覚える
英単語を1万語覚えても、使い方を知らなければ1文も作れません。
逆に、3,000語でも語法とコロケーションを正確に知っていれば、日常会話の7割はカバーできます。
あなたに足りないのは語彙数ではなく、語法やコロケーションなどの知識です。
この語法の学び方は大変です。地味です。
でも、確実にあなたの英語運用力は上がります。
