ここでは、TOEIC試験リスニングセクションのパート1およびパート2に焦点をあてて、高得点を狙うにあたって気をつけたい点について解説します。
パート1とパート2の問題配分が変わります
2016年5月29日実施の第210回公開テストから、TOEICの出題形式が変更となります。
リスニングセクションの詳しい変更内容については、「新形式TOEIC試験:学習法(前編:リスニングセクション)」でご確認いただきたいのですが、その他の注意点として、問題数の配分が変わることが挙げられます(繰り返しになりますが、全体の問題数と試験時間は変わりません)。
これまでのTOEIC試験リスニングセクションの問題配分は、パート1が10問、パート2が30問でした。2016年5月29日実施分からは、パート1が6問、パート2が25問にそれぞれ減少します。パート1とパート2合計で9問の減少ですが、これはパート3へ追加されることになります。
パート1とパート2で気をつけたい点
まずパート1について解説します。パート1は、問題用紙に印刷されている写真を一番適切に説明(描写)している選択肢を選ぶという問題です。パート2でまず最初にするべきことは、問題となる写真の先読みです。
TOEICの受験経験がある方はお分かりになるかと思いますが、各セクションでは始まる前にDirections(試験の説明)が流れます。パート1についてはこのDirectionsの時間が約90秒に設定されていますので、この時間で写真に全て目を通してください。
写真に目を通したら、どのような状況の写真なのかを頭の中で整理しておきましょう。問題数が6問に減少したので、以前よりも余裕をもって全ての写真を確認することができるはずです。この少しの準備だけで、実際の問題文を聞いたときの理解度が変わってきます。
ちなみに、問題の先読みについてですが、リスニグセクションの試験時間内にリーディングセクションの問題を先読みすることは禁止されています(不正行為です)ので、注意してください。以前は禁止されていなかったのですが、現在は不正行為とされています。
もう一つ注意していただきたいことは、時制に気をつけるということです。具体的には、現在進行形をよく意識してください。パート1というのは写真から読み取れる範囲で正答が設定されています。例えば単なる風景の写真など、その写真から動作の継続が判断できないようなものであれば、現在進行形が使われている選択肢というのは高い確率で不正解となります。
逆に、人や動物や乗り物など、その写真から動作の継続が読み取れそうな写真であれば、現在進行形の選択肢も正答になる可能性があります。現在進行形の選択肢が流れた場合は、写真の中からその動作の継続が読み取れるかどうかを考えて判断しましょう。
次に、パート2について解説します。パート2は、短い質問文に対する適切な返答文を放送される選択肢から選ぶという問題です。
パート2で気をつけなければならないポイントは、質問文の出だしです。ここを聞き漏らしてしまうとかなり苦しいですから、出だしだけは全神経を集中させて聞き取ってください。
なぜ重要かというと、質問文が疑問詞で始まる可能性があるからです。これは文法の話になるのですが、質問文が疑問詞で始まっていれば、それに対する答えは基本的にYesおよびNoでは始まることはありません。ですから、疑問詞(5W1H)で質問文が始まっているのにもかかわらず、YesかNoで答えている選択肢が流れれば、それは間違いなく不正解です。
もう一つ気をつけていただきたいのは、質問文で流れた語句が選択肢でも流れたら、それはかなりの高い確率で不正解だということです。これはパート2で必ず出題されるパターンですので、必ず知っておいてください。
例えばですが、以下の問題を例に考えてみましょう。
質問文 What time did you come home last night?
選択肢A:No, thank you.
選択肢B: My home is near here.
選択肢C: At 7 o’clock.
この問題では、選択肢Bでhomeという語句が繰り返されています。リスニング問題がよく聞き取れなかった際の心理状態として、問題文で流れた単語が選択肢の中で聞こえてくると、どうしても正解と思ってしまいがちです。
パート2ではこの心理状態を利用してひっかけ問題が多数出題されるので、気をつけてください。ちなみに、選択肢Aは、少し前で解説したとおり、疑問詞で始まっているのにもかかわらずNoで答えていますので、すぐに不正解とわかります。
まとめ
今回は、パート1およびパート2を解く上で気をつけたい点について解説しました。特に、パート1の時制に気をつけるという点と、パート2の前半で説明した説明文の出だしに集中するというところは、是非意識して取り組んでみてください。
ただし、上記で解説した内容は全てTOEICで高得点を取るためのテクニック(対策)であり、真の英語力の養成にはなりえません。そのため、本当の意味で英語を使いこなせるようになりたければ、文法や単語などを地道に勉強していく必要があることを心に留めておいてください。