市販で売られている多くの参考書や英語学習サイトは、スピーキング、ライティング、リスニング、リーディング力を伸ばすためのテクニックを多く紹介しています。毎年新たな学習メソッドが誕生し、いかにも「画期的な学習方法」であるかのような宣伝をします。
しかし、語学学習の原則は暗記量と練習量であり、そこに短期間で身につけられるようなテクニックは存在しません。言い換えれば、より多くの例文を暗記し、それらの例文を使う練習することが、英語をマスターするための一番の近道です。
英文をたくさん覚えれば、ライティングやスピーキングで何かを表現するときに、これまでに暗記した文章をつなぎ合わせればよいのです。自分で文章を作る練習をすればするほど、流暢性は増していきます。
リスニングやリーディングでも、文章を多く覚えておくことはとても大切です。誰かが似たような文章を話したり書いりしたときに、瞬時にそれらの意味を理解することができるからです。
しかし、いくら大量の例文を覚え、多く練習したとしても必ずどこかでつまずきます。理由の1つとして、文法力と単語力の欠如が考えられます。文章を自由に組み合わせるための文法力がなければ、いくら英文をたくさん覚えても意味がありません。
また、単語力がなければ表現力豊かな英文を書くことができませんし、相手の言っていることを理解することもできません。そのため、まずはこの文法力と単語力の2つを鍛える必要があります。
文法力
私は高校を卒業してすぐにアメリカへ留学をしました。1年半ほど滞在していましたが、ネイティブとどんなに会話をしてもスピーキング力が全く伸びませんでした。さらに、彼らの話すスピードが当時は異常なほど速く聞こえたので、彼らの英語を聞き取ることもできませんでした。
このとき、「このままでは絶対に英語を身につけることはできない」と私は確信しました。私の頭の中には、すでに「日本語」という母国語がインプットされています。「英語」という全く別次元の言語を、私の脳が自然に受け入れることはありえなかったのです。
このように英語を全く聞き取れない状態でしたので、当然彼らが話すような英語をを自在に使うことはできませんでした。唯一覚えたフレーズは、英語の先生にゆっくり話してもらうことで聞き取れた表現や、友達が面白がって私に教えてくれた公共の場で使えないような汚いスラング英語ばかりでした。
このような状態でしたので、当然英語力は全く上がっていませんでした。
やはり、赤ちゃんの頃から学習した場合、もしくは帰国子女でないと英語をマスターすることはできないのでしょうか。もちろん、大人になった後からでも英語を習得することはできます。
実際、私を含め、現在活躍している通訳者は純日本人が多いです。彼らは日本語を母国語とし、後から英語を習得した人たちです。そして彼らは全員、文法をしっかりと学んでいます。
実は語学の習得期間は、赤ちゃんと比べて大人の方が格段に早いのです。文法の知識は、その気になれば1か月で身につけることができます(実際私がそうでした)。あとはそれを基礎にスピーキング、ライティング、リスニング、リーディングの4技能をそれぞれ高めていけばよいのです
単語力
文法力のほかに、もう1つ重要な能力は単語力です。文法知識がいくらあっても、単語力がなければ表現できる内容は制限されてしまいます。文法の勉強と並行して単語の暗記をしていくことが必要です。
目安として、およそ3000語を暗記するまでは、単語帳などを使って集中的に暗記していく方が効果的です。なぜなら、3000語を暗記しさえすれば基礎単語を網羅できるのからです。基礎単語を覚えることが、効率よく4技能を高めるための基本となります。
単語を500語ほどしか覚えていない状態で、リスニングやリーディングの勉強を始めたところで理解できるはずがありません。さらに、ライティングやスピーキングも表現できる内容が非常に限られます。
さらに上を目指す方(TOEIC900以上、英検準1級以上、留学など)は、引き続き単語帳を用いてさらなる語彙力増強をはかってください。
単語力を効果的に伸ばすためには、語法、コロケーション、決まり文句、専門用語をバランスよく覚える必要があります。これらの説明については、以下ページをご覧ください。