日本人が英語を流暢に話せない大きな原因として、学校で習う文法を自在に使いこなすことができないということがあります。しかし、原因はこれだけではありません。語彙力も英語の流暢性を決める要因となります。
語彙力は大きく分けて、語法、コロケーション、決まり文句、専門用語の4種類があります。英語を使いこなすためには、文法に加えてこの4つをバランスよく覚える必要があります。語法に関しては、「英語の語法を学ぶ重要性」をご覧ください。また、決まり文句に関しては「英会話における決まり文句の重要性」の記事をお読みください。
ここではコロケーションに焦点を当て、詳しく解説していきます。
コロケーションとは何者か
コロケーションとは、相性の良い単語同士のつながりという意味です。例えば、「計画を立てる」を英語で表現するときは何と言うでしょうか。これは、「make a plan」です。planと相性の良い動詞はmakeというルールがあります。これを「立てる」という日本語に引きずられて、standやbuildなどと一緒にplanを使ってはいけません。
上の表現は「動詞+名詞」のつながりでしたが、他にも「形容詞+名詞」、「動詞+副詞」、「名詞+名詞」などもあります。例えば「形容詞+名詞」の場合、「多数の人口」はlarge populationであり、much populationとは言えません。
コロケーションはかなり幅広くあるので、地道に覚えていかなければなりません。上の4種類(語法、コロケーション、決まり文句、専門用語)の中でも一番覚える数が多いため、英語学習を続ける限りは一生学ばなければなりません。
コロケーション覚えれば英語力を全体的に向上させることができる
コロケーションの知識は、スピーキングやライティングだけでなく、リーディングやリスニングでも役に立ちます。Jimmy Hill教授は、「LTP Dictionary of Selected Collocations」の中で次のように説明しています。
Similarly, they can listen at the speed of speech and read quickly because they are constantly recognising multi-word units rather than processing everything word-by-word. One of the main reasons the learner finds listening or reading difficult is not because of the density of new words, but the density of unrecognised collocations.
コロケーションのおかげで私たちはより速く考え、より効率的に会話をすることができる。ネイティブスピーカーは、すでに脳内にインプットしている膨大な言葉の辞書から必要な単語に素早くアクセスすることができる。それによって、流暢に話すことができるのだ。
同様に、相手が話しているスピードで英語を聞き取ることができ、また早く読むことができるのも、単語を1つ1つ処理するのではなく、いくつかのかたまりで認識しているからだ。学習者が「リスニングやリーディングが難しい」と思っている主な理由は、新出単語がたくさんあるからではない、認識できないコロケーションが多いからだ。
このように、英語を使いこなす上ではコロケーションは非常に大事な役割を果たすのです。ライティングやスピーキング、リーディング、リスニングにおいてはコロケーションの知識が必要です。前述のとおり、「計画を立てる」は「make a plan」と表現することを前もって覚えておく必要があります。
コロケーションは、言い間違えてもネイティブには通じます。しかし、やや不自然に聞こえてしまいます。例えば日本語で「車を運転する」は自然に感じますが、「車を操縦する」は不自然に聞こえるのと同じです。
自分専用のコロケーション表現集を作る
コロケーションは英和や和英辞書にも載っていますが、それはごく一部です。もし、自分が探しているコロケーションが見つからない場合はどうすればよいでしょうか。そのときは自分で英語を読んだり聞いたりして、1つ1つ収集していくしかありません。そして、「これは使える」と思ったコロケーションを書きとめ(もしくはパソコンに保存し)、1つ1つ暗記していくことが効果的です。
このように、コロケーション力を増やしていけば、徐々にスピーキングやライティング力、またはリスニングやリーディング力も向上し、英語力を全体的に上げることができます。
時間はかかりますが、1つ1つ着実に正しい表現を覚え、英語をより洗練させていきましょう。