自分の言いたいことを何でも英語を英語で考える必要はない

「英語は英語で考えるべきだ」というフレーズは最近よく耳にします。英語学習において、「言いたいことを何でも英語で考えられるようになる」ことは、英語を勉強する人であれば誰もが憧れる境地でしょう。確かにこれができるようになるのが理想ですが、実際は非常に難しいです。

 

私たち日本人(10歳を過ぎた人)は、すでに日本語が頭の中にインプットされています。この母国語の干渉をどうしても受けることになります。英語で何かを考えるときに、日本語で先に文章が思いついてしまいます。

 

短い決まり文句や日常英会話でよく使う構文であれば、日本語が出てくる前に英語の文章を発想できることがあります。例えば、「Do you think ~?」や、「I want you to~」といったフレーズです。これらの表現は特に文法操作が必要ないので、比較的簡単に文章を作ることができます。

 

自分の意見などといった抽象概念を述べるときは、英語で考えることがかなり難しいです。文章が長くなれば長くなるほど、より困難になります。文法知識を使い、瞬時に英文を構成することに意識を集中させることになるからです。

 

このようなことを考えると、「何でも言いたい表現が無意識に口から出てくる」というのはかなりの英語上級者でも困難です。
 
同時通訳者の第1人者として有名な小松達也氏は、自身の著書でこのように述べています。

 

同時通訳をする時、私はかなり意識して英語の文章を作っています。ネイティブスピーカーのように、苦労しなくても自然に英語が出てくるという事はあまりありません。英語を外国語として学ぶ私たちにとって、英語を母国語と同じように流暢にはなすということはきわめて難しいことで、現実的なゴールとは言えません。

 

(引用:英語で話すヒントより)

小松氏はトッププロの同時通訳者の1人として有名ですが、この方はこれまでに数多くの著名人の通訳を務めてきました。もちろん、通訳する内容はかなり専門的であり、一般人には理解できないような内容を英訳しています。

 

このような数多くの通訳経験をもつ方であっても、「英語を自然に使いこなすという境地にはまだ達していない」と言っています。それよりも、英語をネイティブのように無意識に使いこなすレベルを目指すよりも、「英語で何を伝えるか」のほうが重要だと主張しています。
ネイティブは私たちのようなノンネイティブに、彼らが使うような表現や発音などを期待していません。「私たちが何を言いたいか」に焦点を当てて聞いています。全てのことを英語で考えられるようになる必要はありません。まずは自分の言いたいことを正確に表現できる文法力や単語力を伸ばすべきです。

 

ある程度文法の知識がついてきたら、例文を何度も音読をして暗記することが大切です。そして、自分で使える英語表現を徐々に増やしていきます。

 

最初はもちろん、日本語が思いつき、そのあとに英語の文章を組み立てるというプロセスをたどるでしょう。しかし、同じ表現を何度も使っていれば、だんだんと日本語を発想する前に英語の表現を思いつくことができるようになります。これが、いわゆる「英語を英語で考える」という境地です。

 

「英語は英語で考えれば自然に話せるようになる」、と言う教材は多いです。しかし、文法力や語彙力のない人が、いきなり英語で考えることはまず不可能です。

 

このような学習法を推薦している人たちにかぎって、「英語を英語で考える」領域に到達するまでのプロセスを明確に説明できません。そもそも、彼ら自身が言いたいことを何でも英語で発想することができるかが微妙です(英語が母国語の日本人なら話は別ですが)。

 

まとめますと、まずは文法力と単語力を身につけ、自分の表現したい内容を何でも英語で表せるようにします。ある内容を表現するときに、日本語を先に発想してしまっても全く問題ありません。その思いついた日本文を瞬時に英訳することができればよいです。
私も英語を話すときは、日本語で思いついた文章を瞬時に英訳して口から発しているだけです。短い文章や使い慣れたフレーズであれば、英語で考えることはできます。しかし、大部分は日本語で考えています。それでもスピーキングでは、かなりの流暢性をもって話すことができます。

 

英語を英語で考えるための具体的なステップは、こちらのページで解説しています。

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